*服巻智子への講演依頼は以下の方法で!

<< 服巻智子への講演・機関コンサルテーション申込方法! >>

服巻智子への講演依頼および機関コンサルテーション依頼は、下記のメールアドレスよりお問合せいただくか、申込用紙をダウンロードしてファックスするか、どちらかの方法を選択してお申込みください。メールの場合も、下記のPDFの申込用紙をダウンロードして申込み時に必要な内容・情報をご確認ください。

お問合せ先 kouenirai_tomoko@yahoo.co.jp

*1週間以内に返信が無い場合は、再度メールください。
なお、個別相談はメールでは受け付けておりません。ご理解のうえ、ご了承くださいませ。

講演依頼様式のダウンロード (PDFファイル)

FAX送信先 0952-32-2105 *受付時間9:00~17:00の時間内にご送信下さい


2009年11月11日

TEACCH部の憂鬱~パート2

日本の皆さん、今は見守る時です。よろしくお願いします。

-----

CIDDが突然できた経緯は、私は良く知らないのですが、CIDDのサイトを見れば誰にでもわかるように、障害を持つ人たちとその家族を支援する機関が4つ、その傘下に組み込まれていて、4つのうちの1つがTEACCH部ということになっています。

TEACCHは、1970年に発案され、1972年から州政府の制度としてつくられたもので、当時は研究と行政支援サービスの両方を構築していく拠点として、ノースカロライナ大学におかれたのでした。自閉症の研究は、もとは、小児分裂病の研究から発した歴史的背景から、医学部精神科におかれたということでした。

1943年にカナーが自閉症を発表して以降、ベッテルハイムが出て、1960年代終わりまで、自閉症は親の育て方が原因とされてきて、その問題行動の特殊さや不適応行動の永続性など、治療教育不能とされていたのでした。

それが、この間、40年余にわたる歴史的な研究の発展により、さまざまなことが判明してきて、そして、支援サービスも生涯にわたって成果が確認されてきて、それも多岐にわたる研究と成果が出されてきました。行政支援サービスのあり方も、ノースカロライナは常に独創的で合理的で、そして、必ず有効な成果を挙げるトップランナーとして、世界中の手本となってきたのです。早期発見、州全体にわたる支援システム、21歳までの学校教育システムと移行支援モデル、就労支援の各種モデル、居住支援、などなど、世界に先駆けた実践研究ばかりでした。それを、行政サービスと研究をうまく組み合わせて推進したところに、TEACCHのユニークさがありました。

今、TEACCHが今回のような状況になっている主な理由は、TEACCHが世界中のモデルとなるような、発見から教育、そして、就労支援、老齢期支援など、支援サービスの充実モデルを多数示してきたことの結果として、ある程度、到達点に達しているのではないか、という見方があるようです。もちろんこれだけではないですけど。

一方で、現在の自閉症最前線のトレンドは、脳科学研究と遺伝子研究、0歳児研究等です。

大学や研究機関の予算配分の問題も絡んできているのかもしれません。


しかし、TEACCHのもっとも大きな功績といえる世界的にアウトスタンディングな側面は、専門職トレーニングの提供でもありました。


現在、アメリカでもっとも著名な研究者のほとんどが、ノースカロライナ大学TEACCH部で研究者としてのトレーニングを経験しています。ADOSのキャサリン・ロードや、脳研究のトップランナーの一人でNIHのグラント(研究費)審査委員長でもあるジェラルディン・ドーソン、超早期発見の研究者でカリフォルニア大学のサリー・オゾノフら、自閉症研究を語るときに欠かすことのできない研究者たちのほとんどが、TEACCH部で研究者トレーニングを受け、TEACCH部創始者である故エリック・ショプラーや現部長のゲーリー・メジボブたちを『師』と仰いでいます。

さらに、TEACCH5デイ実技トレーニングは、アメリカ各州でも毎年実施され各州の支援職の育成研修モデルとして活用されているばかりでなく、デンマークやイギリスの自閉症学校の必須研修とされています。すでに、TEACCHプログラムは、ノースカロライナ州だけの実践でなく、世界中が取り入れているモデルでもあるのです。



NC大学の中でTEACCH部がどんな形になったとしても、ノースカロライナ州政府が公的支援モデルとして位置づけている限り、TEACCHプログラムの哲学やその支援モデルはなくならないだろうとは思います(希望的観測に過ぎますか。。)。

ただ、ノースカロライナ州政府は、TEACCH部による5デイトレーニングやコンサルティングによって、学校教師や支援職の研修をさせ、現場の教育と支援の質を維持してきました。今のように、CIDDが、来年は一部5デイをなくす、と言っている部分には、ノースカロライナ政府と教育委員会と親の会が強く反応しているようです。



-----


『   私の子よ、
    主の訓練を軽んじてはいけない。
    主に責められる時、弱り果ててはならない。
    主は愛するものを訓練し、
    受け入れるすべての子を、
    鞭打たれるのである
 あなたがたは訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。』
                                         (ヘブル12:5-7)





同じカテゴリー(TEACCH)の記事画像
今年のTEACCHカンファレンスは高校大学での特別支援
TEACCH 5デイトレーニング無事に終了!
TEACCHの誤解を整理する 
TTAP移行支援アセスメント研修会@大阪府 
TEACCHアドバンス/ABAとTEACCH
ジョイス・ラム博士講演会(TEACCH)8月18日夜@大阪
同じカテゴリー(TEACCH)の記事
 【欠席者の方へ】TEACCH®ウェビナーPart1を開催しました (2019-02-27 07:36)
 今年のTEACCHカンファレンスは高校大学での特別支援 (2018-10-27 20:42)
 TEACCH5デイトレーニングのお知らせ (2018-04-10 09:45)
 TEACCH 5デイトレーニング2018 (2018-03-02 20:07)
 TEACCH 5デイトレーニング無事に終了! (2017-08-18 13:57)
 TEACCHの誤解を整理する  (2017-04-30 08:32)

Posted by Tomoko at 18:15│Comments(6)TEACCH
この記事へのコメント
TEACCHが現場主義のもとで進化を続けてきたからこそ、世界中の支援者からスタンダードモデルとして認められ、確立したのだと思います。 


何らかの形でお役に立てれば、少しずつでも協力していきます。 
Posted by くろやん at 2009年11月11日 18:56
先生こんばんは。お身体の調子はいかがですか?
TEACCH部の件はびっくりしましたが、別に政治的な動きではなく、たんに「無い袖は振れなくなった」っていうことなんですかね?
あんまり輸出するもののないアメリカにとって、TEACCHは貴重な全世界に輸出できるサービスなんじゃないでしょうかね。
なんてことを考えました。ではまた! お身体にお気をつけて、たまにはゆっくりなさってください。私は相変わらずまったりやってます。
Posted by 浅見淳子@花風社 at 2009年11月11日 21:19
CIDDのTEACCHトレーニング研修の見直しには、正直びっくりしました。ノースカロライナを取り巻く環境もアメリカの背景を物語っている気がします。
Posted by くろやん at 2009年11月12日 08:04
 何か、大きな変化が、起っているらしいとは、分るのですが、なにせ、TEACCHトレーニングや、ノースカロライナ大学の内情に、ほとんど疎い者としては、まったく「見守る」しか無さそうなのが、少し情けないです。 「耐える」と言うのが現状なのでしょうか。

                   花風社の本の愛読者
Posted by 花風社の本の愛読者 at 2009年11月12日 12:44
 何か、大きな変化が、起っているらしいとは、分るのですが、なにせ、TEACCHトレーニングや、ノースカロライナ大学の内情に、ほとんど疎い者としては、まったく「見守る」しか無さそうなのが、少し情けないです。 「耐える」と言うのが現状なのでしょうか。

                   花風社の本の愛読者
Posted by 花風社の本の愛読者 at 2009年11月12日 12:44
良いものは残り、そうして淘汰されていくのではないでしょうか。
TEACCHの良い部分は、きっと残っていきますよ。
そして、発展していくのでしょう。
「新しい革袋」に。
Posted by たいよう at 2009年11月14日 21:03
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。