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2010年07月03日

オキシトシン!

朝は8時から夕方5時半までみっちり続く学会です。それも4日間続くから、すごいスタミナが必要。毎日午前は基調講演が続き、分科会などの発表は午後です。

第2日目は朝からすごい話で勉強になりました。

朝一番には、スウェーデン国立農業大学の医学博士のモベリ教授から、脳科学の話。これまで怒りのコントロールのために怒りや不安についての研究は多かったが、安心して落ち着いている時にはどのような物質が働いているかの研究は、この数年ようやく着手されているのだとか。その中で、オキシトシンについてのお話でした。

オキシトシンの役割は、不安や焦燥感を減少させ、セロトニントランズミッターの役割を果たし、血圧を下げ、痛みに対する許容度を上げ、ストレスレベルを下げ、癒し効果があり、また、社交場の合図を読み取る力を上げ、社会的相互交渉力に寄与し、信頼感を高め、コルチゾール値を下げ、安心してリラックスすることを促進し、学習を促進する、ということがわかっているとのこと。

このオキシトシンはどのような場合に発生するか、など、詳しく脳科学について解説がありました。いろいろなケースがあるのですが、その中でも、信頼関係にある者同士の皮膚のふれあいの際にもオキシトシン値が急激に上がるということがわかっており、特に、母親の授乳時には子ども側も母親側もオキシトシン値は一気に高まり愛着が高まるとのこと。もちろん性交渉においても、ということです。

それで、最後の最後にようやく動物介在の話になり、飼い主と愛犬の接触時に、このオキシトシン値は、飼い主側も飼い犬側も一致して高まることが示され、なぜ、ヒトは犬によって癒し効果を得たり何かに取り組む動機付けになるのか、ということについて、脳科学の立場からの解説でした。たったの40分間のご講演でしたが、ものすごくわかりやすい、しかも科学的な根拠をたくさん示してのお話で、納得でした。

その次は、アメリカのノースウェスタン大学からアールーク博士から、動物介在活動を通しての人の反社会的行動に対するプログラム開発についてのお話。

そして、ハンガリーのブダペスト大学のアダム・ミクローシ教授。ケーナインサイエンス(犬学)という学問を確立した動物行動学者で、犬と狼の違いに関する行動学的見地からの詳細な研究の成果として、1つは、犬は周囲を観察してヒトあるいは仲間と協働活動に近い行為を自発するし、また、同じに群れるけれども犬の方が断然社交的な行動をする、ということ。2つ目は、犬は模倣をする、ということ。3つ目の成果は時間が足りなくなってスキップされてしまったのですが、

犬は模倣をする、模倣を教えられる、模倣スキルを生活の中で般化するという発見と、そのビデオには、驚愕しました。

休み時間にミクローシ博士と、自閉症の模倣について質問! 当然博士は、テンプル・グランディンについてもご存知!
ミラーニューロンは犬も猿もあるが、模倣だけじゃなく、犬はさらに他の社交にかかわるニューロンが働いているところが、断然、野生動物とは違うのだということをお話され、模倣に関する自閉症のための指導プログラムに犬を用いることの仮説もお持ちでした!脳科学や遺伝科学の分野だけでなく、動物行動学の分野でも、自閉症のことはホットな話題らしく、また、テンプル・グランディンさんについて知らない人はいない、というのは、やはり「世界に影響を与えた100人」の一人らしいです。

午後は、分科会は3つもあるのですが、私が参加したところでは、HIV二次感染の子どもたちの心理的ケアに動物介在活動が役立った実践研究をイタリアのミラノ大学医学部小児科から発表されたものに大変感動しました。また、イギリスの馬が治療に役立つ研究発表がオランダとノルウェイのオスロ大学から続き、その後、まちにまった、発達障害に対する研究の発表が始まりました。

ADHDに対する研究をドイツのロシュタック大学精神科と社会教育学部の共同研究として発表され、小学校のメインストリームにいるASD児とTD児のグループ活動を動物介在活動を取り入れて行った大規模な実践研究の結果がオーストラリアのクイーンズランド大学心理学部が発表。さらに、オランダのユトリヒト大学の臨床心理学部の教授から、自閉症の家庭でガイドドッグを活用するパイロットスタディについての報告がありました。

その中では、クイーンズランド大学の研究は特筆すべき研究でした。動物介在活動を学校教育の中に取り入れたのです。一人のASDと2名のTD児を1グループとして27グループで一年間取り組んだ結果ですから、母集団も大きく、分析が科学的でしたし、発表のまとめ方が素晴らしかった! ASD児のソーシャルアプローチ行動の増加はもちろん、定型発達児にも社交スキルが伸びたこと、その上、定型発達児は成績もぐっと伸びたことが報告されました。ASD児は家庭でのソーシャルスキルにも優位な違いが報告されましたが、担任教師たちからは、学級での行動が非常に落ち着いてきたと、一致した報告が上がってきたとのことです。バイアスについてもきちんと検討されていて、質の高い研究報告でした。






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この記事へのコメント
詳しい事は分りませんが脳内物質のオキシトシン、なんか凄そうです。
私事ですが、もうじき始まる、年に一度の地元の祭りの準備の集まりに行って「雑談」を楽しんで来ました。 もしかしたら、その時にも、このオキシトシンが、自分の脳内に出ていたのかもしれません。 以前の自分では、考えられない行動ですから。 以前は「自分は人間嫌いだ」思っていたし、そう言ってもいましたから。 しかし、その「人間嫌い」をよくよく調べたら、人間自体は、余り嫌っていなくって、その人間が、自分に向って発信して来る情報が、どうした訳か自分の脳でちゃんと捉える事が出来ていなかったり、弱点や、欠陥が在る人間に、高望みをして、ズレや、ヒネクレをより大きくしてしまった結果、ついに嫌いに成ったようだと、この頃気付きました。  そして、この気付きの助けを、結果的にしてくれたのが発達障害の人々でした。
Posted by 花風社の本の愛読者 at 2010年07月03日 22:05
Tomoko 先生!

あたしは、「オキシトシン増進project」と銘打って
信頼感が築けてきている人たちと「握手する」機会をつくって始めました

昨日は、なんと!!!
上司たちに依頼のmailをだしました。(こちらの記事の説明もお借りいたしました)
ミーティングで直接のコミュニケーションの最後に勇気を出してお願いしたら握手に応じてくれました

オキシトシンが体内に増えますように
ありがとうございました
Posted by ナルヲ・ディープ at 2010年07月24日 10:17
はじめまして、使役犬を主に飼育している犬舎のブログ担当です。

オキシトシンについて色々な記事が有りますが、
一番分かりやすい説明でした。
ありがとうございます。
Posted by 散歩係 at 2010年11月16日 11:10
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