*服巻智子への講演依頼は以下の方法で!

<< 服巻智子への講演・機関コンサルテーション申込方法! >>

服巻智子への講演依頼および機関コンサルテーション依頼は、下記のメールアドレスよりお問合せいただくか、申込用紙をダウンロードしてファックスするか、どちらかの方法を選択してお申込みください。メールの場合も、下記のPDFの申込用紙をダウンロードして申込み時に必要な内容・情報をご確認ください。

お問合せ先 kouenirai_tomoko@yahoo.co.jp

*1週間以内に返信が無い場合は、再度メールください。
なお、個別相談はメールでは受け付けておりません。ご理解のうえ、ご了承くださいませ。

講演依頼様式のダウンロード (PDFファイル)

FAX送信先 0952-32-2105 *受付時間9:00~17:00の時間内にご送信下さい


2008年07月07日

ASDの就労支援者側の心構え

夕べ遅くに自宅に帰還。知人宅に預かってもらっていた愛犬たちも帰宅して、しばし安らぎの時を過ごしました。
あ~、家は良いな。


----------

あちこちで自閉症支援の方法論を伝えていく仕事をしていると、皆さんの抱えているいろんな困難に出くわすことが多い。

自閉症は、外見は一般人みたいに見える、『見えない障害』だし、ASDは理屈っぽく良くしゃべるから、支援者も目くらましに遭うのだ。

特に、感情の未発達と衝動性を併せ持つ人の場合、自分の混乱が一気に沸点に達しやすく、それが破壊・攻撃と評される行動となってしまいがちだ。

そんなとき、支援者は余計に‘目くらまし’に遭ってしまう。
障害を持つ人の社会的自立に役立つ仕事をしたい、社会の人たちこそもっと障害を持つ人への理解を高めないといけないと、理想に燃えている支援者が、一番‘目くらまし’に遭いやすいようだ。

支援者は、事実を冷徹に見つめる姿勢が肝要だ。

無理難題を社会側に押し付けることになるのは、むしろ社会の人たちを理解から遠ざけてしまうという事実も、しっかり把握して行動しなければならない。


感情のコントロールが出来ないのは、単に衝動性だけの問題ではない。
感情そのものも未発達なのだ。


生活年齢が成人に達していて、学歴もあるからと、直ちに就労移行支援事業に乗せるのは早計である。

その人がASDならば、基本的生活習慣のほか、問題解決スキル獲得のレベル、構造化活用スキルのレベル、衝動性の状態、感情の発達レベルとコントロールスキルレベルをある程度見極める必要がある。可能なら、これらの領域に関して、ある程度の基礎トレーニングを積ませるプロセスを経てから、就労支援に乗せる。つまり、それこそが、移行支援なのだ。


理想に燃えて、ASDの人の仕事に行かせる仕事をさせようとしても、上記の人としてのスキルが就業レベルでなければ、特に、パニックへの対処スキルに問題があって、仕事上に支障をきたすことが予測できるのであれば、本人のためにも基礎トレーニングを先行させるべきである。

いったん、職場で就労支援を始めたのに、適応力が低くパニックが多いからと止めさせられるのであれば、本人にとっては甚大な『失敗体験』となる。忘れられない脳を持つ彼らに、取り返しのつかない失敗体験をさせてはならない。それを避けることも支援職のプロとしての役割だ。


今はまだ、ASDの成人がいれば、そして本人が望むなら、直ちに就労移行支援に乗せて失敗している例に出会うことが多い。

それいゆでは、大学卒のASDの人であっても、個別アセスメントに基づいて個別の支援計画を立て、1~3年は、事前の基礎トレーニングに丁寧に時間を費やす。その後の長い人生のため、より堅固な基礎づくりを提供したいからだ。


基礎作りをしましょうと提案すると、抵抗する本人と親たちがいる。
本人にいたっては「俺を馬鹿にしているのか」と、怒り出す人たちがいる。
それも十分、想定内だ。
たしかに珍しい取り組みかもしれない。

しかし、その後の成功のために、間違いなく必要なプロセスだから、それいゆではこういった支援メニューを準備し提供している。
本人に本気でやる気があるなら、十分話し合い、目標をスモールステップで明確にしていくプロセスをとる。
『就労移行支援事業を受けるためのスキルアップ』だ。

ここで心理的葛藤が発生することに対し、支援者はひるんではならない。
自分が感情的になってはならない。



そのASDの人に関わる事実を多角的に冷徹に見つめ、本人に事実を情報として提供し、具体的支援計画を提案し続ける、その上、引き際も肝心。
これが、支援者にプロとして求められる姿勢だ。




同じカテゴリー(お仕事日誌)の記事画像
臨床発達心理士の全国大会でした。
今週毎日クラスルームといろ(^^)/
祝!多久市児童センター
クラスメートに話すとき ~中学校での授業
白老周辺の皆様へ。9月13日に伺います。
CBTとThe CAT-Kit and ASD
同じカテゴリー(お仕事日誌)の記事
 臨床発達心理士の全国大会でした。 (2018-08-27 07:32)
 今週毎日クラスルームといろ(^^)/ (2018-05-10 19:47)
 心理師自身のカウンセリングの必要性 (2018-01-17 09:03)
 祝!多久市児童センター (2017-03-14 07:00)
 日本自閉症スペクトラム学会第14回研究大会@札幌 (2015-08-22 22:41)
 クラスメートに話すとき ~中学校での授業 (2015-02-27 09:26)

Posted by Tomoko at 08:30│Comments(2)お仕事日誌
この記事へのコメント
初めまして。40歳にさしかかる年齢の成人のASD当事者です。ご活躍は遠くから拝見しております。
感情の未発達と衝動性に対処するためのトレーニングが実在し、当事者の小利口さに騙されないノウハウもセットとは、正直悔しく、歯がみする思いです。私が今から受けたいです。佐賀にお住まいの方がうらやましいです。
ついつい悔しくてコメントを書かせて頂きました。失礼いたしました。
Posted by Prudence at 2008年07月08日 22:59
■Prudence様
いらっしゃいませ。
ブログを読ませていただきました。フラワーレメディを使ってらっしゃるのですね。私も今、バッチフラワーレメディの勉強をしていますが、とても良いとの感触を得ています。
ASDのための感情コントロールや感情そのものの発達に関するトレーニングプログラムはあります。それいゆでは、数年前から取り入れ、また、自分足りでも開発し、実践しています。
いつか、より多くの方とシェアできるようにしたいという計画はあります。少し時間が必要だとおもいますが。
Posted by Tomoko先生Tomoko先生 at 2008年07月09日 07:39
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。