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2008年10月10日

自分がその人の立場だったら

一昨日昨日と、那覇市のホテルで開催された『九州地区知的障害関係施設職員研修大会』の第5分科会「かかわりの難しい人への支援」の助言者をさせていただいた。

2組(熊本県、沖縄県)の誠実な実践が報告された。

この研修大会は、九州圏内関係施設の連携・ネットワーキングや親睦と若い職員を育てるための大会だそうで、もう第42回を数える。

『障害特性に応じたバリアフリーの提供は義務です。問題行動は、上手く表現できない利用者からの苦情ですよ。苦情処理は、正しい知識のもとに実施されるアセスメントに基づき、確かな技術で計画的に対処なされなくてはなりません。』という柱で話を進めさせていただいた。

若いスタッフから質問が出た。

『自閉症に歩み寄るのはわかるんですが、自閉症の人をこちら側に合わせるように教えることとの葛藤があります』

率直な質問と心情だと思う。

今、日本は自閉症のことが徹底的に理解された上での一人ひとりに合わせたバリアフリー提供は非常に困難な状態だ。その状態で、バリアフリー提供よりも先に「こちら側にあわせる」方針を優先させるのは、ともすれば虐待に通じてしまうことを認識していて欲しい。

『教える』作業とプロセスには、さらに細かい正確なアセスメントと見通しを持ったカリキュラムに基づくプランと、複数の教育技術、その上、長期にわたって一貫した取り組みができるという体制が必要になる。
それを、君たちの実践現場は整えることができるか。

しかも、この『教える』作業は、バリアフリー環境の提供がなければ、成立しない。

スタッフ間の共通理解にも四苦八苦しているのであれば、バリアフリーもおぼつかない。

知的障害者施設は、知的障害者に合わせた施設だ。
その中で自閉症の人たちが生き抜くためには、『自閉症に合わせる』ことはやりすぎたと思っても足りないくらいだという実情を、厳しく認識しなければならない。

終わってから、第5分科会に参加していたという若い人たちの数人から声をかけられた。
参加してよかった、実践を見直したい、という感想をもらった。

そう、君たちは、選んでこの仕事をしているんだモノね。
利用者はこんな人生を選んだわけじゃない。
ここが徹底的に違うんだよ。
利用者は、もっと違う人生を歩みたかったかもしれない。

『自分がその人の立場だったら』という観点を持ちながら支援を組み立てていく、その感性をこれからも磨き続けて欲しい。



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Posted by Tomoko at 08:09│Comments(3)お仕事日誌
この記事へのコメント
こんにちわ、障害を持っている人との関わりは、簡単には行かないことも多く、ついこちらが思っている理想の方向になかなか進んでくれないことでいらだったりすることもあいます。
でもやはり、そんな時は、誰もそうしたくて障害を持ったわけではないのだということ、自分がその人の立場だったらということを常に忘れずに関わっていくことが大切ですね。
自分は持っていない荷物を背負ってくれている人がいる。その荷物は背中にぴったり張り付いて変わりに背負ってあげることは出来ないけれど、この人のために出来ることが私にはきっとあるはず。汗を拭いたり、座るための気持ちの良い椅子を用意したり、歩く道がでこぼこなら平らにならしたり。そんな気持ちでやっていけたらいいのかなと思っています。
Tomoko先生どう思いますか?
Posted by AZU at 2008年10月11日 06:35
■AZU様
そうですね。
そのような気持ちは大前提ですね。その上で、正しい知識と確かな技術が必要となると思いますよ。
Posted by Tomoko先生Tomoko先生 at 2008年10月14日 10:20
沖縄での研修大会に参加させていただき、自分の職場で自閉症に合わせる事が出来ていない、自閉症を理解できていないことを強く実感しました。

そして、質問した若者スタッフと同じような葛藤を抱えていた事もまた事実。


私たちの住んでいる社会は、私たちが作った常識で埋め尽くされている。その中で、うまく生活していくには、こちら側の常識も分かっていた方が良いのではと考えたり、でもそれは、ただの押し付けになり強制的になってしまうのではと悩んだり…

でもそれって、自閉症支援の根本である「自閉症に合とわせた環境バリアフリー」の概念が理解できていなかった事、そして「自分がその人の立場だったら」を考え切れなかった事から生まれた葛藤だったんだな気付かされました。


それに気付いた今、その学んだ事を職場のみんなと共有して、支援員の意識からバリアフリー化していきたいと思っています。
Posted by yu at 2008年10月14日 13:36
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