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2008年04月25日

身障者駐車場に停める愚者

今日は、佐賀駅南口にあるアイスクエアビルで仕事した。

そのアイスクエアビルの正面駐車場で見た光景



正面玄関前に2台の車がとめてあるので、よく見たら



正面玄関の2台とも、車椅子利用というマークのついた車だった

その原因は、身障者駐車場に、障害者ではない人の車が停めてあったから

今日は、身体に障害を持つ車椅子利用の人たちの会合もあっていたが

そんなことに気を回さない人なのか、平然と、障害者駐車場にとめて動かそうとしない

車椅子を利用している人たちも困った挙句、正面にとめたのだろう

私は歩けるが身障者だ

これは、声を上げないといけないと思い、アイスクエアビルの事務局に放置しないで指導して欲しいと苦情を申し立てた

「注意してるんですけどね」という返答は何もしないと言っているのと同じだ

と言うと、2度、館内放送をしてくれた

けれども、動かそうとしないので、この写真を撮影した



ホンの1メートルの移動が、どれほど大変なことなのか、どれほど時間のかかることなのか
身体が丈夫な人には思いもよらないのだろう

アメリカだったら通報されて、違反切符を切られている
イギリスだったら通報されて、モラル違反のレッテルを貼られ近所に顔向けができない
日本は館内放送で注意を促しても、動かそうとしない人たちだらけなのか
日本は障害を持つ人に配慮した生活態度を持っているかどうかなどが品性の基準にならないのか

千葉県では障害者の権利を侵害した人は名前を公表されるという条例ができた

佐賀県は、障害者駐車場に止めることのできる人の範囲を広げているが、証明証をもっていなければならない

しかし、そんなことがあってもなくても、自分よりもっと必要としている人が常に周りにいるということへの気配りのできる品性を持つ人がどこにでもいるような地域文化であってほしいものだ。そしてそれは、法律があろうと無かろうと、結局は一人ひとりの心がけにかかっているのだ。

  


2008年04月22日

昇地三郎先生

最近、テレビで、昇地三郎先生のお元気な姿をたびたび目にする

もちろん、しいのみ学園の創立者で、多くの障害児教育の領域で働く人たちを育てた人

数十年前までは、障害児教育という領域を、日本という文化の中で確立した方として知られておられた

佐賀でも、こすもす村が伊万里にできたとき、激励の詩を贈っておられた

先生の後進は立派に育って、福岡を中心にして日本中に散らばっている

今や、先生は、すべての人にとって、人生の生き方の先輩で、あらゆる意味でお手本だ

最近、先生がご登場なさるのは、ほとんどが長寿を取り上げた番組

長寿の秘訣は、たゆまぬ好奇心、そして、よく噛むことだと先生はおっしゃる

達観したような明るい穏やかな101歳の笑顔は、誰をも魅了する

素晴らしいなぁ
  

Posted by Tomoko at 07:16Comments(1)つれづれ

2008年04月19日

サービスに感動! JALとANAの連携

昨日から出張。
昨日は大変だった。
天気は良いし、出張先の天候もテレビですでにチェック済みだったので、安心して出かけたが、福岡空港に到着してみると、「羽田悪天候のため、全便遅れ。羽田行きは出発しても福岡空港に戻る可能性があることをご了承ください」との表示。

なに?なんで?

悪天候とは強風のことだった。

飛行機は少々の雪でも発着するけど、強風には弱いものね~。

でも、私はそれでは困る!

320人の人が会場で待っている。その人たちの時間を無駄にすることはできない。

JALで予約していたので、JALの人も一生懸命別のルートを考えてくれたが、羽田経由でしか行けない場所なので、相当苦労していた。

ところが、ANAに電車で3時間の場所まで直行便があるとわかった。

しかも、わかったのが11時、その便の出発は11:05

間に合わない!



















JALの地上係員は諦めなかった。

全便乱れているのだから、ANA便も遅れている可能性がある、とにかく問い合わせてみましょう!

と、ANAに連絡を取ってみてくれた!

すると、予想通り、ANAのその便も30分遅れていて、席に空きがあるという。

JALの人たちの動きがにわかにどよめき、3人の係員が私の荷物を持ち、無線も持ち、一緒に走ってくれた。

手荷物検査場のところでは、ANAの人が、これまた3人で待っていてくれ、私と荷物をバトンタッチ!

それでも、JALの一人はちゃんと乗れるか見届けるつもりで戻らない。

ANAとJALの急ごしらえのチームが一緒に走る。

出発ゲートは第2ターミナルの一番端っこ、つまり、第3ターミナル

ゲートでもフライトアテンダントが待っていて、私と荷物はそこでもリレーされた


私は間に合った!
320人の聴衆と、主催者を失望させずに済んだ





予定外の電車に揺られて窓の外の風景を眺めながら思ったことは、

部署間連携が難しいと公官庁でよく聞くけれど、彼らは会社を超えて連携した

それも、ちょっとした機転とねばりと、人を思う心



素晴らしい連携だった!JALとANA

お互いに旅客のため、その一致協力の姿は美しい!



感動した!

JALもANAも、本当にありがとうございました!
  

Posted by Tomoko at 09:15Comments(1)お仕事日誌

2008年04月17日

お堀の蓮が消えた!?

昨日、テレビを見ていたら、とんでもない(と、私が感じた)ニュースが流れていた。

佐賀の象徴の1つとも言える、お堀の蓮が消えたという
しばらく近くに行っていなかったから気がつかなかったなぁ

例年、今頃はお堀の水面を青々とおおっていた蓮の葉
そして、暑い夏には、薄紅色の大きな美しい蓮の花がたくさん咲いて
見る人に暑さを忘れさせてくれたものだ
初夏から夏の佐賀の街に、蓮の花はなくてはならないものだ

原因は、増殖した亀が、蓮の芽を食べてしまうからだと言う

どうする?

佐賀市、佐賀県、そして、市民の私たち

お堀を管理しているのは佐賀県だよね

対策はどう取られているのか、知りたいものですね

  


Posted by Tomoko at 21:33Comments(0)佐賀んこと

2008年04月15日

セラピードッグが来た!

犬と暮らした経験が、大人になってとても役立ったというのは、多くのアスペルガー成人当事者が語ってくれていることだ。
大人になってからも、とても大切な存在だという。

逆に、アメリカではシリアルキラー(連続殺人者)のほぼ3分の1が、10代までに動物虐待をしたことがあるという統計が発表された。

そのため、幼児期より、人とは異なる生物との共存や接し方を日常的に経験させておくほうが良いという意見が、英語圏の教育家や当事者たちから出されている。トニー・アトウッド博士も同じ考えだ。アニマルセラピーで自閉症スペクトラムが治るわけではないが、アニマルセラピーはあらゆる全人的発達のどの部分かで確かに効果がある上に、自閉症スペクトラムの人たちのよき友になってくれるというのだ。

私どもそれいゆでは、自閉症スペクトラムを含む発達障害の子供たちのためのフリースクールを開校して5年経つ。
この間、スタッフの愛犬や愛猫が、たしかに力強い役割を果たしてくれた。

今年度、私どもが佐賀県から委託を受けて運営するフリースクールSAGAでは、
優良家庭犬(Good Citizen Test)の試験に合格し、アニマルセラピー活動に参加した経験のある
ゴールデンレトリーバーに協力を頂き、正式に、アニマルセラピーを導入する。

アニマルセラピーといっても動物介在療法と動物介在活動の2種類あるが、フリースクールで取り入れる予定なのは、動物介在活動の方だ。つまり、動物を使った治療、ではなく、動物と楽しく活動することの方。

県の許可を得、日本動物病院福祉協会による一定の資格と登録のあるセラピー活動従事の犬は、建物内に入れるようにしていただいた。

昨日が、その第1日目であった。


写真は、優良家庭犬でセラピードッグの、さばのすけ君
日本動物病院福祉協会認定の証明である、ブルーのTシャツを着ています


子どもたちは、ワクワクドキドキ!
触ってよいですか?と、聞いて触る!
スタッフもはじめて見るセラピー犬に興奮!!!

もちろん、参加は自由なので、関わりたくない子どもたちは別の活動をする。



ちなみに、現在、佐賀県内には優良家庭犬合格犬はいないし(一度合格しても、二年ごとに更新のテストを継続して受けて合格しないと取り消される)、正式なCAPP(アニマルセラピー)活動がなされたことはない。
さばのすけ君も、福岡県から来てくれている。

佐賀市内のDogWoodという「ペットとのスローライフを応援する」店が、今後、優良家庭犬普及とCAPP活動普及を展開していくということだ。
興味のある方は、DogWoodに問い合わせてみると良いのでは。
  

Posted by Tomoko at 08:37Comments(2)アスペルガーの教育

2008年04月10日

歯と骨

去年の虫歯予防デーから歯科に通院はじめて、すでに、10ヶ月。
まだまだ終わらない歯科治療。
上下とも、奥歯はすべて要治療だった。
留学中は歯科治療費が莫大だから、歯科通院しないことを前提に、留学前には当然歯科治療を済ませてから留学していた。

けれども、帰国してすでに6年。
歳もいって、虫歯ができていた。

治療に通いだしたのは、股関節の手術が決まったから。
虫歯があると、骨に悪影響であるので、手術前にすべての虫歯を治療しておくように言われたのだった。

手術の予約は1年前の4月はじめだったが、1年半待たされることになり、痛くてたまらない私はかなりしょ気ていたけれど、歯科治療のことを考えると、1年半はかかるのだとわかった。手術まで待たされたおかげで、歯科治療は手術までには完璧に終わる予定だ。

しかし、歯科治療というのは時間のかかるものだとつくづく痛感。
新しい虫歯ならば、かなり悪い状態であっても、一日二日であっというまに治療が終わる。
いろんな人から、『最新の歯科治療は、麻酔を使って集中してやるので、二日くらい時間を空けておくと、全部終わるらしい』
と聞かされていて、結構気楽に通い始めたのだが、
ところが、10年以上も前に治療したものであると、そうはいかないことがわかった。

私の場合、家系的にエナメル質が弱いらしく、虫歯になりやすいので若い頃はよく歯科に通って、丁寧に治療していた。
それが、今になって、金歯を被せたところほど、芯が悪化していたのがわかった。痛みが無いので、まったく気づかなかったが、レントゲンを撮ってみると、ばい菌の病巣が見える。
そんなところに限って、金歯をはずしてみると、酸素が入って急激に悪化するのだ。
そのため、治療は1本1本、丁寧にしなければならないため、1本につき、3~4週間ほどかかることになってしまった。

すでに10ヶ月経つ。
まもなくゴールが見えてきたが、ここまで毎週の歯科通院で、いろいろと勉強になった。
通院していた歯科が、トレーニングセンターの役割を果たしていたので、しょっちゅう、インターンの歯科医がくるので、そのインターンの指導を院長先生がなさっているのが、私の立場からするととても興味深い。オンザジョブトレーニング、そのものである。

とにかく、この年代ですべての歯の治療を済ませておくと、インプラントにしなくて良くなるらしい。
それもまた、ありがたい話だ。

歯と骨は全身がつながっている。
歯が悪いと、骨も内側からボロボロになるらしい。

歯は、全身を黙って支えてくれている。

歯を大切にしよう!
  

2008年04月08日

後輩の君へ

新年度が始動して1週間経ちました。
毎年この時期は、新しいスタッフを迎えます。
それだけじゃなく、今年度の所信を新たにし、事業体としての方向性とミッションを明確にし、再度、全職員の心を一つにする機会を設定しています。「ひとつにする」といっても、本当に1つになんて60人もいれば難しいだろうけれど、ミッションを共有し、自分の中で咀嚼して、自分の与えられた役割の中に反映しつつ仕事をするために心を整理したり新たにしたり、そんな時期です。

ですので、全職員に対する研修とミーティングが重要な位置を占めます。
それいゆでは、最初の5日間は全職員がみっちり研修にいそしみます。
部署によっては研修がもうしばらく続きますし、新卒新採の者は、3月中から研修開始です。

大人になったからといって完全な人はいないでしょう。
職員になったからといって、完璧に仕事をできるわけではありません。
仕事を始めてから数年経ったころ、新採の頃の謙虚な姿勢が薄れてしまっていることが多いもので、この時期のスタッフにはさらに別の研修を用意します。といっても、オンザジョブトレーニングの形態ですが。

ベテランは、ベテランのよさを発揮しつつ、新人は新人らしい初々しさが新鮮ですね。

学習というのは、刺激を受け自分で考えて何かを掴んだり得たりすることです。自分の言動も誰かのよき刺激となっているのかもしれません。

ベテランと新人がそれぞれの長所短所を表すことのすべてが、その職員集団での刺激の与え合いになって行きます。

刺激に遭遇した時、どのように考え決断し行動するか、その点に、その人の学習があります。

どのように考え決断し行動するかは、その人の持って生まれたものによってナチュラルに反応する部分でもありますが、すでに20歳を超えているのですから、その刺激がさまざまな側面を持っていることを常に頭においていれば、単に自分の思い込みで反応しないで、1つ1つの刺激を分析する習慣をつけて欲しいものです。それによって、その刺激による捉え方考え方は1つではない、と、気づくようになって欲しいものです。考え方は1つではないと知れば、どの考え方を採用するかは自分の意志であることがわかってきます。自分の意志で1つ1つの出来事への捉え方考え方をつぶさに検討してからどれかを自分の考え方として採用してから、その後の言動の仕方を決定します。

学習とはそのような道筋であり、大人になるということは、考え方は1つではないと知ること、どの考え方をとるかは自分の決断であり、その結果として、言動は自分の責任である、ということを心得ることです。

「こう言われたからああするしかなかった」という言い訳は、あまりにも幼稚な発言だと知ることです。
人のせいではないのですよ。
自分がどう受け止めることに決めたか、どう考えることにしたか、なのであり、その感じ取り方もその後の言動も自己責任なのです。

ベテランも新人も、皆さんがまた1つ成長するのを見守るのが楽しみな年度初めです。
  

Posted by Tomoko at 05:38Comments(6)後輩の君へ

2008年04月04日

佐賀県が知的障害を持つ人たちを理解するためのDVD制作

*この記事は、前日の記事の続きとして書いております。


安永健太さんの取り押さえ死亡事件(←このネーミングはマスコミによるもの)があったことをきっかけに、
佐賀県が奮起してくれました。そもそも佐賀県は、現知事になってから、さらに福祉に力を入れてきています。
福祉の充実は、その地域の成熟度と文化性の質を問うポイントでもありますから、良い方向に向かっていると思っています。
ある出来事があってそれが社会に問題提起をするものであったなら、それを放置したり、誰かを責めるだけで終わらせず、何をどうして行くかと思考を働かせることが、その後の社会をより良くし、その出来事で悲しんだ経験を強い未来への希望とテンカンさせるものだからです。前に向かって行動!

佐賀県はこの事件を発端に、去年の12月初頭から検討委員会を発足させ、佐賀県全体を障害を持つ人たちにフレンドリーな社会へと発展させる一助とするための活動を開始していました。検討会は、県を中心に、手をつなぐ育成会の代表の方、知的障害者授産施設協議会の代表の方、知的障害施設協会代表の方、親の会の方々などが月に数回、仕事が終わってから県庁の障害福祉課に集まって、夜遅くまで議論を続けました。一番遅かったのは、夜の0時を回っていたこともありました。

この会で決定して、今後県庁中心に、関係団体が協力しながら実施していくその活動にはいくつかの柱があります。

まずは、行政自身から、ということで、県庁職員全体への知的障害を持つ人たちへの理解啓発の職員研修を必須化し、それを継続すること。

次に、県民全体への啓発活動。これにはいくつかの具体的な計画があります。

その県民全体への啓発活動の1つに、知的障害を持つ人たちを理解啓発を目的としたDVD制作がありました。
佐賀大学のふるさと映像塾の皆さんのご協力により、そのDVDが完成しました。
短期間で制作されたものでしたので、細かい部分で突込みが入る部分は残っていますが、全体にはまぁまぁ良く仕上がっているのではないでしょうか。

その動画は、今月初めより佐賀県のHP上で配信されています。
          ↓
http://www.pref.saga.lg.jp/web/sisetu.html

佐賀県知事は、平成20年の新年の所信表明演説の第1に、障害を持つ人たちへの理解啓発を挙げていました。
そして、4月の新年度の所信にも、トップに障害者問題を挙げておられました。

今夜も、実は、その検討委員会の集まりがありました。

啓発DVDの今後の用い方と、その他の啓発活動の具体的計画について、でした。

先日述べたように、2年前の障害者自立支援法によって、知的障害や精神障害を持つ人たちの人権を保障し、彼らが同じ人間として地域に普通に暮らすことのできる文化性の高い日本、そして、佐賀の文化を発展させていく時代の転換期です。地元で一番お世話になったり活用したりするところ、駐在さんのところやコンビニ、駅やバス、レストラン、薬局、ショッピングモールなどなど。そういうところに、お願いに上がるキャラバン隊を具体的に組むことになったのです。それも県庁主導で!

人情産地佐賀、とは、前知事の頃の言葉ですが、現知事の号令の下、本当に人情産地佐賀が実現し始めている、と、感じた今日の会議でした。


そのほかにも、机上の空論ではない具体的な計画がいくつかありますが、それはこれから詳細が決定し、佐賀県が発表してから書くようにしたいと思います。ぞくぞくと計画が打ち出されていく予定です。

安永さんの命、安永さんが県民に残してくれたこと、彼の命の意味を、こういう活動をみんなが続けていくことを通して考えていくことができると良いねと、今夜の会議からの帰りに、あるメンバーがおっしゃっていたのが、強く心に残っています。
  

2008年04月03日

安永健太さん事件に思うこと~パート1

先日、安永健太さんの取り押さえ死亡事件について、3月28日付で以下のニュースが流れました。

【引用ここから】
佐賀市の路上で昨年9月、知的障害者の安永健太さん=当時(25)=が挙動不審として警察官に取り押さえられた直後に死亡した問題で、遺族が氏名不詳のまま特別公務員暴行陵虐致死の疑いで告訴していた警察官数人について、佐賀地検は28日、刑事事件としての立件を見送り、不起訴処分とした。同日、遺族側に説明した。

 地検は、安永さんの死因を「心臓性急死」として取り押さえとの因果関係を認めず、取り押さえを適正な保護行為と判断した。

 地検は、安永さんの死亡直後から目撃者らの事情聴取を重ね、現場付近にいた女子高生から「警察官が健太さんを殴ったのを見た」との証言も得たが「暴行の事実はなかった」と結論づけた。

 遺族側は、不起訴処分を不服として佐賀地裁に付審判請求する見通し。

                   =2008/03/28付 西日本新聞夕刊=

【引用ここまで】



 2年前に施行された障害者自立支援法は、ノーマライゼーションを実現する社会をめざして、現在施設入所している障害者も地域に暮らすようになることを推進することを基本理念としています。その実行プロセスにはまだまだ解決されるべきいろいろな問題を多数孕んだ法ではありますが、基本理念そのものはあるべき方向に向かっているようです。

 こうして、21世紀になり、障害を持つ人たちもその人権が守られながら普通に街に暮らすのは、実はものすごく当たり前のことです。地域に共に暮らすようになるならば、『見えない障害』をもつ人たちが街のあちこちにいることになります。そしてそれは、本当に本当に当たり前のことです。だけど、そのニーズは多様で、一般の健康な人を標準だと考えてはいけないということです。そもそも人々は多様であり多様なニーズを持っていることそのものが標準であることになるのです。

 安永さんの取り押さえ死亡事件は、そのような時代の転換期に、私たちの地元、佐賀で発生しました。

 知的障害や発達障害も目に見えない障害と言えます。一見してはわからない。

 知的な障害を持つ人の言動が、やや挙動不審に見えるのは、障害の無い者の言動を標準にしすぎているからです。 
それは、障害の無い者が世の中の中心だと考える驕りからくるものです。

 一見、見た目に奇妙だと、すぐさま、挙動不審と決め付ける警察の体質は改められなくてはなりません。

安永さんは怖かったに違いありません。突然、大勢の制服を着た警察官に取り囲まれたのですから。
通常、恐怖の高まった時、人は抵抗します。それは誰しも同じで、抵抗が暴れているように見える行為となるものです。

すると、4~5人で取り押さえるのは、当然のことでしょうか。

警察は、市民に対して絶対な権力を持っているからこそ、まずは市民を怖がらせないことが第一義とされるべきです。
相手を怖がらせず、人として当たり前に丁寧に接していくべきです。
挙動不審だといっても、武器も持たない者に対し、取り囲んで数人で取り押さえるという行為は、権力による暴力以外のナニモノでもありません。

郵便局に行っても銀行でも、コンビニでもバスセンターでも、電車の中でも、どこででも、多様な人々に出会うし、その多様さが容認されるようになること。多様さの中でもお互いに心安らかでいられる地域であるように、ルールを守る。これが良識。

警察は、その良識の手本であるべきでしょう。

万が一、安永さんの死に取り押さえが因果関係を持たなかったとしても(あまり信じられませんが)、佐賀県警はこの事件においては、ルールを守らなかったことは間違いありません。安永さん事件について、地検がなんと判断しようと、裁判でどうなろうと、あの取り押さえの経緯に納得できる人は一人もいないでしょう。

武器を持たない人(一般市民)を4~5人もの屈強な武道を修めた警察官たちで取り押さえるということの、理由の説明が無いからです。

一度、佐賀県警の方々の言い訳を直接うかがってみたいものです。

私は、仕事で、多数の発達障害を持つ人たちの地域生活を支援しています。
発達に障害を持つ子どもたちには、将来、地域で暮らすスキルを身に付けるように指導も続けています。
親たちも、わが子には自分の力を最大限生かしながら、地域の皆さんに見守ってもらいながら、また、いくらかは助けてもらいながらも、わが子が生まれてきて良かったと思えるように地域生活を整えてあげたいと全力を尽くしています。

通常、親や本人たちが心配するのは、地域の人々が理解してくれるかな、ということでした。
しかし、今は、地域に暮らす市民を平等に守るべき警察が、ネックだとわかりました。

この子どもたちが地域で暮らすとき、警察は、助けてくれるのでしょうか?
それとも、平等性を欠いた目で取り締まるつもりでしょうか?
佐賀県警の体質が変わらない限り、佐賀の地元で地域で暮らす、というのは、難しいのでしょうか。

警察は公的機構であり、私たちの血税で動いています。佐賀県警には、障害者が地域で暮らすことをどのように支援していくつもりか、という方針を、きちんと明文化して発表してもらいたいものです。佐賀県警があるから『地域では暮らせないよ』と市民が思ってしまわないために。


*この記事には続きがあります。翌4月4日の記事がその続きですので、継続してお読み下さい。
  


2008年04月01日

見える障害と見えない障害

私の股関節の病気は、『変形が進行する』ものです
それによって引き起こされた状態は元には戻らないので、それが『障害』です
『障害』とは、その状態が元には戻らず生涯続くというのが定義なのです

そして、その障害の状態によって引き起こされる不便は、社会生活を送る上で不利となり
それが、バリア(障壁)です

私の股関節の病気は、その病気と障害が証明されたので、『身体障害を持つ者であり、社会によって便宜を提供される合理的根拠を持つ者である』と認定され、身体障害者手帳が付与されました。

しかし、股関節の病気をもつ人の誰もが経験することですが、

・日によって状態が違う
・時間帯によっても状態が違う
・座る椅子の影響も受ける
・持つ荷物によって影響を受ける
・自分の体重にも影響を受ける
・睡眠具にも影響を受ける
・自分の姿勢にも影響を受ける  等等

ため、痛む時とそうでない時があり、そうでないときは何事も無いかのように歩くことができます。
また、痛む時の予想が自分ではつけることができないため、何事も無く行動できている時でも、突然、激痛のあまりに歩けなくなったりします。気温が低いからとか、一定の波があるとかではなく、本当に予想がつかないことばかりです。

しかも、歩ける時があるのです。

だから、この痛みとか不便さとか、家族にもわかってもらえないことが多いです。

痛いときは掃除もできません。
掃除機を持つことやモノを移動させることができないからです。
料理のために長時間台所に立つこともできません。

しかし、家族は歩ける時のほうの記憶が強いのか、その状態の変化に気づいてもらえません。

股関節は体内にあり、見えないのですから。


見えない障害のため、理解してもらいにくく、社会的不利や生活上の不便より、理解者が見つからないことの方が心理的に追い詰められます。誰にもわかってもらえない。。。


私の場合、レントゲンなど医療的に明確な症状だったので、身体障害者手帳を頂き、それを証明書として、はた目にはわかりにくくても、身体障害としての合理的根拠のある便宜を図ってもらうことができています。2種ですし、65歳になっていないということで、ガイドヘルパーは頼めないし制限もあるのですが、それなりに助けてもらうことができています。

しかし、私以上にはた目にはわからない障害を持つ人たち
精神障害とか発達障害の人たちは、一見すると、五体満足ですし健康そうに見えるかもしれません。
精神障害の人は通院が必要なのですが、移動にかかる補助が少ないようです。
また、発達障害の人たちは、まだ手帳も行政サービスも整備されていません。

見えない障害の人たちの心理的苦痛を、私も少しだけ味わいました。

身近な人たちが何を必要としているか、ほうっておいて欲しいのか、それとも実は少しばかりの配慮を必要としているか、敏感でありたいものだと思いました。

行政サービスの向上も不可欠ですが、人間は身近な人たちにわかってもらうだけでも心が救われるような気持ちになるものです。
まずは身近な人たちへの気配りができる私たちになりたいですね。

だって、いつかは誰しも高齢者になるのですから。
高齢になると、身体が利かなくなって、社会的不利を多数被ることが多いのです。

『明日は我が身』、ということを思えば、
昨日の自分より今日は、人にもう少しやさしくなれるかな。